Otra célula del cerebro

気が向くままにだらだらと書いていきます。

生物と無生物のあいだ/福岡伸一  ~研究の成果はどうやったら守れるんだろう~

2007年に話題になった本のようです。読売新聞の書評にのってたみたいです。

d.hatena.ne.jp

 

この書評を読んだら、自分の感想を書くのもどうかなぁと思いつつも、とりあえず書いてみます。

 

すごい有名な本なんですね。知らなかった。読んでて面白かったです。

今の1000円札の人であり、偉人として称えられている野口英世が、あまり評価されていないとか、興味深い内容が多々書いてあります。

野口英世がやっていた黄熱病の原因追求は、いまではウイルスによるものとわかっていますが、野口英世は当時細菌によるものと考えて、研究を推進していました。そして、それを論文に発表していたり。

つまり、今からみると、間違った方向によった研究をしていたわけですから、野口英世のすごみというのが薄れるというか、なんというか。

ただ、当時の技術ではわからないことが多いので、仕方がないというか、やれる範囲を徹底的にやってたということなのかな?と思います。

技術革新の中でウイルスを見ることができる電子顕微鏡というものがでてきたり、と使える武器の違いが、過去の間違いを明らかにしていくのですから、わからなくても仕方ないのかもしれません。

野口英世についての詳細:野口英世 - Wikipedia

 

この本で興味深いところが2つ。

1つは、DNAが螺旋構造をしているのを紐解く物語。

2つ目は、人の体内は順次入れ替わっているということ。

 

 DNAが螺旋構造をしているのを紐解く物語では、査読や国の報告書がライバルに漏れるとどうなるのか?というのが興味深い。

もともと、ロザリン・フランクリンが進めていたX線解析でのDNA構造の調査を、国の報告書として1年に一度報告資料にまとめて報告していた内容が、なぜかライバル(ワトソン、クリック、ウィルキンズ)に情報が漏れてしまい、DNAが螺旋構造というのを突き止められるわけですから。

そのうちの一人が、上司(ウィルキンズ)というのも皮肉。査読というシステムは、研究の確からしさを確保するために、必要な仕組みです。なのに、それによって、情報が漏れるというのはいかがなものかな?と思えてなりません。

なお、ライバルは1962年にノーベル賞とってます。フランクリンが1958年になくなったあとに。なんつうか、ひどい。。。

 

2つ目は、人の体の中身は、一見同じようなままでも、徐々に入れ替わっています。少し形の違うN(窒素)をもつ栄養素をマウスに与えて、マウスの排泄物を調べたところ、形の違うNは20%程度しかでてこなかったそうです。

つまり、栄養素を分解し、細胞が栄養として取り込んでおり、細胞が徐々に入れ替わっているということになります。点滴をずっとしていて、固形物をとらなくても、排泄物はでるそうなので、腸も新陳代謝で徐々に入れ替わっているということになります。

そういうことを考えると、日々の食事というのは栄養を取るという意味だけでなく、自分の体を構成しているものと考えて、気をつける必要があります。

ここ最近、肉、特に牛肉を食べると、高い確率で腹の調子が悪くなるようになりましたが、日ごろの食生活(野菜中心)のせいかもしれません。肉を食べるのには非常に強いエネルギーがいることを感じてしまいます。

 

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)