Otra célula del cerebro

気が向くままにだらだらと書いていきます。

村上海賊の娘(四)/和田竜 ~海戦がはじまると、一気に面白くなって読み終わってしまった~

村上海賊の娘の最終巻。

 

ほとんど中身は木津川の合戦です。

村上海賊側が機能的に織田側を追い詰めていくのが見えてきます。その中で、景親の覚醒や七五三兵衛の活躍とかが描かれており、圧倒的な村上水軍の活躍の中で、七五三兵衛の孤軍奮闘ぶりがわかる感じがします。

 

景と七五三兵衛の戦い、景親と七五三兵衛の戦いははらはらさせられる戦いで、まさに話がどんどん進んでいき、読んでいくペースもどんどんあがる。

七五三兵衛の家を残すというとてつもない執念で、何度も何度も立ち上がるというよりも狂気染みた状態が続いていきます。

この七五三兵衛を倒さないと、村上海賊側の勝利がないと思えるくらい。。。

景ですら、心を折られかけ、こうとすら思っているわけですから。

決して勝負を捨てぬ者だけが、勝ちを得る

ただ、七五三兵衛がかんばれば頑張るほど、景が奮い立つというなんという映画的な展開。

男は窮すれば窮するほど、不屈の性根を剝き出しにする。七五三兵衛自身はあずかり知らぬことだろうが、その姿は景を叱咤し続けていた。

そして、紙一重となっていくわけですが。。。

 

ここらの戦いにいたるまでの流れがあるから、相手の素性もわかっているからこそ、読んでて面白くなったのかな?と思います。

助走がすごく長かったのですが、この4巻だけはあっという間でした。なんかもったいないと思えるくらい。

戦い巧者の村上水軍に、翻弄されながらもぶつかり戦っていく七五三兵衛。一歩違えば、こちらを主人公に据えてもよかったのではとすら思えてます。

 

最後の村上水軍や関係者の行く末ですが、複雑な感じがします。結局家を残せたのは少ない。どこかに属したりして、なんとか家を残していったというのが一つの答えなのかなと。

 

これ、映画化されるんでしょうが、面白そうだなぁ。。。

焙烙玉や海戦をどう描くのか?そこいらをじっくり見てみたいなぁ。。。

 

そういえば、乃美宗勝が昔語りをするところがあるのですが、その心境がちょっと思うところあり。

歳を重ねるに従い、自分の経験や見聞を話したいという欲求は高まるばかりだが、若い者はどんどん聞く耳を持たなくなる。

上司が酒飲んだ時に、昔話を話したがるのがこういう心境なのか。。。と思ったのもありますが、うっとうしいなと思うところもあり。

うまく泉州侍のように流してあげた方がいいんだろうなぁと思ったり。

 

村上海賊の娘(四) (新潮文庫)

村上海賊の娘(四) (新潮文庫)