Otra célula del cerebro

気が向くままにだらだらと書いていきます。

がん幹細胞の謎にせまる 読了

人間にとって「不治の病」といってもいい、がん。

そこに取り組む医療の進歩や科学者達の奮闘振りがわかるように書いています。この人たちのものすごいエネルギーが医療を進歩させて、それによって助かる人がでてきているというのがわかります。

毎日の仕事で疲れていても、”がん”と戦う姿を見せられると、ものすごくエネルギーを与えられます。自分もこのがんと戦う人たちと同じくらいのエネルギーで仕事をやって、少しでも世の中をよくするんだと思わされますね。

 

がん幹細胞とは、がん細胞のうち、幹細胞となりうる特徴をもった細胞のこと。幹細胞とは、いろんな細胞になることができる能力を有する細胞のこと。

 

これを見つけ、どう対処していくのか?というのが大切な研究テーマなのだとわかりました。

あとは、がんの転移・再発をどう抑えるか?でしょうね。これについては、いまだ研究途上という感じの書き方になってました。やはり、転移のメカニズムを解明し、それを抑える薬や治療方法を見つけるというのが大切なんだろうなと。。。

 

それにしても、がんの治療方法は、現在、手術、抗癌剤放射線となってますが、今後は、免疫療法も加わる可能性があるし、どんどん新しいことがわかってきていて、まさしく研究の最先端という感じがします。抗体医薬の話もあれば、再生医療(iPS細胞、ES細胞など)もありますし。

少しでもはやく研究成果が、世の中に出ることを祈ってやまないです。

 

医療の進歩には、科学技術の進歩の歴史と同じというか、ともに進歩をしてきたというのがわかります。

電子顕微鏡の発明・進歩で、ウイルス研究が進歩するし、放射線の研究から放射線治療が生まれるし。。。その一方で、軍事技術の中から新しい治療方法(抗癌剤(マスタードガスの成果をヒントにその量を減らせば治療薬に使えるのでは?と考えたのがスタート)が生まれたりしてますし。

 

その中でも一番衝撃だったのは、ダグラス・メルトンのすさまじいまでの我が子への愛でした。我が子が第Ⅰ型糖尿病にかかり、一生治療を続けないと生きていけないのがわかると、それまでの研究を投げ捨て、子供の病気を治療する研究に着手し、あえて研究の鬼になった。そして、ものすごい勢いで成果を出し続け、ついには17種類のヒトES細胞の樹立にこぎつけていく。その途中で、ES細胞が受精卵をつかうという倫理的な問題で、国から研究予算がつかないという逆風にさらされる。そのときに、「だれもやらないなら、自分がやればいい」と自分を奮い立たせ、自分で基金や研究所から資金を集めて、研究をものすごい勢いで続けていった。

このエピソードを読んだとき、心が震えましたね。ここまで自分の仕事に対して、情熱をつぎ込めるのか?それを自分に問いかけてしまいました。

あとは、iPS細胞が見つかった経緯で、1つずつやってうまくいかなかったのを24種類一気にまぜたらなぜかうまくいったという話も面白かったです。気になることはすべてやる。そのくらいの意気込みが必要なんですね。。。ただ、これを見つけたときは、それはそれは衝撃だったろうし、その発表の場にいれることがうらやましかった。歴史の証人になれたわけですし。。。

iPSで面白いのは、ES細胞と共通のが3つなのに加えて、4つ目ががん細胞の遺伝子というのが面白いですね。がん細胞と初期の細胞が似たような性質をもつというのが、不思議な感じがします。

 

ヒトゲノム計画の狙いが、遺伝子の地図を作って、その地図をもとに研究を効率的に進めていくというのには驚きました。てっきり、調べることが目的なのだと思ってましたが、そうではなかったんですね。。。

ヒトゲノムでわかったところから、ガンゲノムを特定していったのも。。。

 

そういや、幹細胞治療って昔受けた記憶があるなぁ。。。

 

がん幹細胞の謎にせまる: 新時代の先端がん治療へ (ちくま新書)

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