世界情勢を知るために購入。
というのもありますが、本のタイトルを見て購入といったのが正しいです。
読んでみて思ったのは、ユーロ圏というのは、ほぼドイツが支配しているような状況なんだなと。
ユーロという厚い幕の後ろにドイツがいて、すべてを思うように動かしている。そんな印象を受けました。
本書で記載している「ドイツ帝国」は、ドイツの影響力が及ぶ国々のことをいう。含まれるのは、オランダ、フランス、スイス、ベルギーなど。東欧のチェコやスロバキアも含まれる。その規模たるや、人口:5億人強、GDP:12兆円程度とアメリカ(人口:3億人弱、GDP:12兆円程度)と肩を並べる。
さらに、アメリカがNATOを通して、「ドイツ帝国」の軍事コストを担ってくれるので、ドイツは軍事コストに気をかける必要がない。
さらに、ドイツは、安い労働力を東欧に求め、それを効率的に利用する仕組みとして「ユーロ」を導入した。ユーロを利用しているところであれば、為替の影響を受けずに安い労働力をそのまま享受できるわけですから。
ここまで書いてみると、まさしくドイツのやっていることは、アメリカの軍事力にのっかったただ乗りで、かつ、暴走ですね。
ギリシャ危機の時に、ドイツが好き勝手いってて、言い方が悪いが、内政干渉でないか?と思いました。ただ、これはEUという枠組みをとおして、さらには金を使っての内政干渉なんだなぁと解釈できますし。。。
結局は、広大なヨーロッパを制覇し、かつ安い労働力で稼ぐ。これをするために、官民一体で実施しているというところでしょうか。
そうすることで、ドイツが強力な資金力と権力を手に入れた。それをみた、シリアの難民がドイツを目指している。。。
それに気付いたアメリカが、TPPで巨大なブロック経済をつくろうとし、さらにドイツの基幹産業である自動車産業の不正を突いた。と考えると、面白い。いろいろ調べた中でVWがひどかったというだけではなく、VWを狙い撃ちしたんだと思います。
ちょうど数年前にGMやFordを救うために、規模のでかかったTOYOTAを狙ったように。
TOYOTAの場合は、誠実に対応してことなきをえましたが、信頼回復まで2,3年かかるという足踏みをさせられました。
それに対して、VWの不正は闇が深い分、もっと長引くかもしれないし、EUへの統治へのひとつの挑戦のように見えてきます。
TPPは中国をねらったというよりも、EUへの対抗という側面も強いのではと。TPPを通して、アメリカはEUのドイツと同じことをしようとしているのでは?と思います。中国を締め出し、経済的なダメージを負わせるだけでなく、巨大なマーケットをつくり、EUに対抗するという。。。
こう考えると、いまの経済的な動きというのをもうひとつ、いやかなり上の段階で考えてみる必要がありそうです。
アメリカの動きについては、妄想かもしれませんが。。。
ただ、ドイツの覇権の道は、どうなっていくのか?興味が湧いてきます。
歴史は繰り返すというが、中国とドイツ、アメリカ、ロシア、この4つの大国がどういう行動するのかは見過ごせない気がします。
ここらの話に中東の話が絡んでくるから、さっぱりわからなくなるんですよね。。。
「ドイツ帝国」が世界を破滅させる 日本人への警告 (文春新書)
- 作者: エマニュエル・トッド
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2015/07/03
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