Otra célula del cerebro

気が向くままにだらだらと書いていきます。

フェルマーの最終定理 読了

ピタゴラスの定理をならったときに、ちょっと調べるとでてきたフェルマーの最終定理。17世紀にでてきて、20世紀に証明されるまで約3世紀、人々の興味を持ち続けさせた稀有な存在。

それがどのように解かれていったのか?そこに興味がわいたので購入。

 

ちなみに、フェルマーの最終定理は次のようなものです。

URL:フェルマーの最終定理 - Wikipedia

 

単純なようでいて、3世紀以上人の攻略を防ぎ続けた。そこが非常に興味深いです。

 

本書は、フェルマーの最終定理がどう解いていったか?をフェルマーの前、ピタゴラスの定理の時代から順番に記載していってます。数学の一分野の歴史書といってもいいのかもしれません。

 

面白いところは、谷山=志村予想がでてきたところと、それがフェルマーの最終定理とつながっているとゲルハルト・フライが証明した瞬間ですね。ここでつながるのかぁと思わされ、さらに、フェルマーの最終定理を解く道筋が見えたわけですから。

URL:谷山–志村予想 - Wikipedia

しかも、フェルマーの最終定理が成立しないとすると、谷山=志村予想が崩壊する。それは、数学が20年以上、この予想が成立する場合を仮定して進めてきた一分野の根幹からの崩壊させてしまうという大事件まで抱えているわけですから。

フェルマーの最終定理は、数学の攻略するべき一課題ではなく、数学の根幹につながる大問題となってしまったというところも物語的というか。。。

 

ここから怒涛の攻略がアンドリューワイルズの活躍が記載されいくのですが、ここは心が震えました。過去の歴史を踏まえての攻略方法の話がつながっていく。偉大な問題は人を育ててきたんだなぁと思わされるくらい。

しかも、一度証明の課題が一部指摘されていたのに、その証明を修正するための方法が、一度捨てた方法というのがいいです。いろいろとやってきたことが最後の最後で助けてくれるとか、礎になるというのは、なんというドラマ仕立てって思えてきて仕方がないです。

この間の世間の騒ぎようと、また無理だったか?という疑心暗鬼ぶりも書かれていて、世間がどれだけ注目していたか?というのもわかります。

 

それにしても、この攻略に気付いた瞬間の言葉がまたいい。

ある月曜日の朝、そう、9月の19日のことです。私は机に向かってコリヴァギン=フラッハ法を吟味していました。この方法を生かせると思っていたわけではありませんが、少なくとも、なぜだめなのかは説明できるだろうと。おぼれるものは藁をもつかむといった心境でしたが、私は自信を取り戻したかった。すると突然、まったく不意に、信じられないような閃きがありました。コリヴァギン=フラッハ法は完全ではないけれども、これさえあれば、、最初考えていた岩澤理論が使えることに気付いたのです。コリヴァギン=フラッハ法があれば、三年前に考えていたアプローチが使える。それはまるで、コリヴァギン=フラッハの灰の中から真の答えが立ち上がったようでした

 

自分の経験の中でも、こういうのは一度だけ経験したことがあります。学生時代の研究で完全に行き詰っていたときに、なんでこういうトラブルが起こるのか?というのを特定するために、とことんシンプルに単純化していってたことがあります。

そのときに、ふと、あー、そうか、これが問題だったのか。うーん、この問題は解けないなぁと思って、1年くらい別の研究テーマをやってたときに、ふと、「あ、あの問題、考え方を変えて新しいアプローチすれば、クリアできるかも」という形でブレイクスルーが生まれたことがありますので。

なんつうか、達成感はすごかったです。ただ、達成感がすごすぎて、それだけに満足して手柄を別の人にあげようとしたら、恩師にとんでもなく怒られました。「お前は研究成果をないがしろにしすぎている!研究者失格だ!」と。

いまはそういうことをいってくれた恩師にはすごく感謝してます。そのあと、いろいろと研究を進められたし、そのことをベースに共同研究したりしたわけですから。

 

本書の最後のところに、未解決問題とラグランズ・プログラムという数学の大統一ということにも記載されてます。

「フェルマーの最終定理」は、序章にすぎない | 読書 | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト

これは、物理学もどうように進められている場の統一理論と同じ。

つながりがわかってしまえば、ある分野では有効な方法が別の分野でも適用できる。そうすることで、どんどん数学や物理が進展していく。その一連につながることですが、興味深い研究だようなぁと思います。

電磁気学も、電気と磁気が別々と思われていたのが、つながりがわかったことで電磁気学という学問になり、より深く理解が進み、モーターの発明につながっていったわけですから。

これから、つながりの弱いところがどんどん証明されていくことになっていくことになります。この理論がどんどん進んでいくと、いままで見たことのない世界が見えてくるのでは?と思えてなりません。

ただ、自分の生きている間には無理だろうなぁって少し思ったり。長生きしたいけど、できんのかなぁ。。。

個人的には、リーマン予想をどのようにといていかれるのか?興味がありますけど。。。

数学書は難しいけど、またいろいろ読みたいなぁ。。。

 

この本から読み取ったのは、あきらめずに立ち向かい続けること、それと、一生懸命がんばったことは無駄ではない。どこかで生きる。ということの2つです。

アンドリューワイルズのように熱い想いで研究ないし、仕事に取り組んでいきたいと強く思いました。できないと思ったらそこまでですから、思わずに突っ走ろうと。

 

やるべきことをやった上で、やりたいことをやる。そして、やりたいことをやるために、仕事を作る。

今年がやりたいことの準備ができる年にしたい。

 

フェルマーの最終定理 (新潮文庫)

フェルマーの最終定理 (新潮文庫)