トコトンやさしいめっきの本/榎本英彦 ~たかがめっき、されどめっき、最先端技術もめっきがあってこそ~
たかがめっき、されどめっき。
めっきといえば、偽物とかで、金みたいなめっきをしていたのがはがれて、別のものがでてきて、偽物か!とかあったりするあんまりいいイメージがないです。
「めっきがはがれる」という言葉もありますし。
ただ、実際のめっきは、装飾に使われたり、電子製品の部品につけられてたりと様々なところで使われてます。
そもそも、めっきははがれてもらってはNG。めっきがはがれること自体、品質面からいけばあってはいけないことなんです。
めっきに求められる機能として、次のようなものがあります。
- 金属感
- 高級化
- 精緻さ
- 汚染防止
- 耐摩耗性
- 防錆
- はんだづけ性
- 高硬度
- 潤滑性
など、多様な機能をめっきによって付与しているんです。外装に使うめっきの出来栄えはお客さんに見えるところなので、見た目が非常に重視されますし、防錆、汚染防止、耐摩耗性とかの機能は、信頼性に影響を与えます。
めっきがあることで、従来使えなかった機能を付与して、新しい価値を生み出すことができる。そういう価値をもつものそれがめっきです。
めっき自体は、10~30μm(1μmは1/1000mm 髪の毛の太さの1/100。 めっきの厚みは髪の毛よりも薄い)しかありませんが、それだけの厚みでこれだけの機能を付与するというのはすごい技術だと思います。
場合によっては、1μmより薄いめっきをつけることもあります。めっきのようなものを薄く均一につけることが、めっき屋さんの腕の見せ所になります。
とはいえ、めっき自体は、製造自体のめっき液や製造条件の管理が肝となります。その管理条件が当然な上に、コスト競争にさらされ、さらに、新しい技術を見出していき、できないところや、極薄のめっきをやったりとかということに挑戦していかないといけない。
非常に厳しい業界となってます。
ただ、厳しいとはいえ、日本、いや、世界の根幹となる技術となっており、なくなることはないと思います。ただ、中国とかの新興国のめっき屋の成長がどのレベルで進むのか次第では?と。
最期に、めっきを使ってのマイクロマシンの部品作りも研究が進んでいます。チューブにめっき付けをして、チューブからめっき部分のみを取り出すことで、その極薄、さらに小さなチューブをつくったりと。。。
こういう新しい技術開発が進んでいるのを見ると、技術者魂というのはすごい。不可能と思えるものを実際に世の中へ出すわけですから。

トコトンやさしいめっきの本 (B&Tブックス―今日からモノ知りシリーズ)
- 作者: 榎本英彦
- 出版社/メーカー: 日刊工業新聞社
- 発売日: 2006/09
- メディア: 単行本
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