Otra célula del cerebro

気が向くままにだらだらと書いていきます。

最後の伝令/筒井康隆 ~逃れられない運命をここまでいろんなアプローチで書くとはなぁ~

 普通の世界というより、SF?うーん、ファンタジー的な感じがします。出勤中に読んでると、不思議な世界観に呑みこまれて変な感じでした。ショートストーリーが主なので、いろんな話が読めます。ただ、いろんな視点から話があるので、多少話を理解するのに疲れます。。。

 

印象的な話として、3つ。どれも死についてがテーマになってます。逃れることができない運命だからこそ、興味が湧いたのかもしれません。

 

1.最後の伝令

肝硬変末期の会社員の体内部での、情報細胞の旅。情報細胞や体の各部位の細胞がまるで人間のように会話をしたり、行動したりしている。その中で、肝臓から脳へ伝令をもって移動していくのだけど、体に多数の異変が起こっており、もう死が近いというのがわかる。

ただ、我慢したり、病院嫌いだったりして、もう助かりそうにないというのがさらに悲壮感を漂わせる。

最期のところで、キーとなるところにつくのだけれど、黒いマントを羽織った人がそこに同じように向かっていた。そのあと。。。(少し続きます)というのを読んでると、人って、なんなんだろう?って気がします。

普通人の体は1つであって、というふうに思うが、もしかしたら、細胞が1つ1つに意思があり、人の体は、細胞の集合体であり、普段考えている意思は、細胞の合意の上で決まっているのでは?と。

そうなると、人が死んでいく中でどういうふうに細胞が決めて動くのだろうと。。。思えてなりません。まるで、地球が滅びるときと同じことのように、どうすることもできずにあきらめるのかなぁ。。。

 

2.瀕死の舞台

老齢の役者の話なんですが、死に掛けているのを芝居としてやっていて、その中で徐々に老衰していく。最終的になくなり、役者の死という芝居であったとして、まわりが対処します。

なんつうか、不思議な感じがします。

人が死んでいくという芝居をみたいのかな?とも思えますし、自分の死すらも舞台で演じてしまう役者というのはどれだけ因業な生きかたなんだろうと。

ただ、徐々に意識が消えていく様子が記載されているのが、印象的な感じがしてしまいます。人がなくなるとき、どういうふうになくなっていくんだろう。ふと、そういうことを考えさせられました。

 

3.九死虫

9回死ねるという虫の話。逆に言うと、8回はいき返させられるということです。ある意味、死というのをもっと身軽に体験している感じがします。

8回の死に方も特殊で面白いのですが、最期の1回については、いままで8回死んでいるからこそ、その恐怖におびえてしまっています。まるで、最後の1回だけはきてほしくないというのを表現するかのごとく。まるで、精神が崩壊してしまっています。

これを見ると、死が1度というのは、それ自体が未知なものだからこそ、恐怖であるのですが、まだ知らないからこそ、死を受け入れられる気がします。

8回も死んで、もう生き返ることができないという絶望は、自分たちの死よりも深いものではないか?と思ってしまいます。

 

この3つを読んでいると、死というものを題材にしていますね。。。どれも、アプローチは違うのですが。。。

 

死というものはわからないですが、とりあえず、自分は生きていこうと思ってます。なんか読んでて、そういう気持ちがしたのは不思議な感じがします。

 

 

それにしても、この本を読んでて、非常につかれました。。。。

普段より読むペース遅かったもんなぁ。。。

最後の伝令(新潮文庫)

最後の伝令(新潮文庫)