海賊とよばれた男 上/百田尚樹 ~久々に熱い物語を読んだ気がする。~
出光興産の出光佐三をモデルとした国岡鐡造の物語。
戦後の復旧から、石油を武器にして世界と戦っていく。その姿が格好良い。
そして、混乱期のときのリーダーとはどうあるべきか?というのが見えてくるのもすごくいい。
戦後、海軍の石油タンクから廃油をくみ出すという契約をとりつけたものの、インフレの激化で利益がでなくなったところになっても、この仕事の趣旨を明確に見定め、やりきると判断した場面。
一方で、ラジオ修理をしながら。。。
「たしかにタンクの廃油を集める仕事は利益を追求して始めたものだ。しかしそれだけではない。この仕事を日本人がやり通すことで、GHQに日本人の意地を見せることになる。この廃油をすべて集めれば、GHQは自らの発言の手前、日本に石油を配給しなければならなくなる。」
~略~
「君たちに言っておく。この事業が赤字になりそうだということは、タンク底に潜っている店員たちには絶対に言ってはならない。わかったな」
ここの話は、自社の利益だけではなく、国の目線でやっているんだとの意識を明確にしつつも、現場で頑張っている社員のモチベーション低下を抑制するための手はずも打つ。
そして、この活躍の中で、同業他社からのいやがらせを受けても、笑い飛ばして無視できる度量。
こういう心構えというか、心憎い演出というか、リーダーの目指す姿の一つなのでは。
あとは、戦前の話にありますが、油をブレンドして、使いやすい油を作るという発想。これは技術者目線だよなぁ。
現状をよしとせず、常に改善していくという姿。自分の仕事に必要な姿勢かなとも思え、仕事への反省にもなります。
あとは、既存の勢力との戦い。見てて面白い。ここまで嫌がらせをするのか。。。と思えるくらい。
下巻から、もっと大きなセブンシスターズとの戦いになるみたいですが、どこの話でもっていくのか?非常に気になります。
2016年中に映画も公開されるみたいなので、そちらも機会があれば、見にいきたいなぁ。