ねじとねじ回し この千年で最高の発明をめぐる物語/ヴィトルトリプチンスキ ~アルキメデス、すごいな。。。~
この千年で最高の道具の発明は何か?という問いに対して著者がだした答えが、ねじとねじ回し。
日頃使っている、使われているものがいつごろ発明されたものか?ということに対してあんまり気にしてなかったです。でも、この調査をして調べていくという行為の物語を読んでいくと、「へー」という素直な感想しかでてこない。
主たる工具はこの1000年間どころか、すでに古代エジプトやローマで使われていたものばかり。
つまり、工具という観点では、大きな発明はほとんど太古の昔から変わっていないということ。これがすごいことだなと。
PCや電気とかの大発明はあるけども、モノを作るという観点で見ると、組み合わせや材料が変わったりすることで、この2000年、3000年に急激に進化していったということがわかるとすごいことだなと。
この普段使われている中でも、ねじだけは異なるようです。
私たちが使っているほとんどの道具が発明された中国でも、ねじは知られていなかったというのは驚きである。一方ヨーロッパでは、、15世紀後半に作られた写本に溝つきねじの絵があることから、このころにはすでに使われていたことが分かる。もともとは甲冑や鉄砲といった軍事用の道具の連結部分が繰り返し衝撃を受けても緩まないようねじ込まれ、その技術がほかの分野に応用されるようになったのではないか、というのが著者の推測だ。
もともとは、軍事用の武器の耐久性向上のための開発だった。
そういや、インターネットももともとはアメリカ軍の開発したモノといわれてますし、新しいものは軍事から始まることも多いのでは?
そして、一気に普及したのが産業革命で、効率的に安定した品質のねじが作れるようになったから。そして、ねじの規格ができて標準化されていって。。。
これはすごいことだなと思います。
最後に、著者が「ねじの父」の称号を贈ったのは、アルキメデス。
アルキメデスの名前がもう1種類のねじ、つまり用水用の水ねじに関係して登場するからだ。
~中略~
筒の外側につけた足がかりを踏んで人が歩くことで装置全体が回転すると、低い方の端から入り込んだ水がねじの螺旋状の仕切りーーーすなわちねじ山ーーーにそって先端まで上がる。
水ねじのところで、水を揚げる装置の機構のひとつに、ねじの概念が含まれている。この発明をアルキメデスがしたという説があるから。
水揚げねじという技術が産業革命や軍事技術の進化により、急速に発展し、ねじやねじ回しによる締結の道具にまでいたったというのが面白い話だなと。
こういう身近にあるものの発明が、実は歴史的に偉大な人の発明だったというのは面白いし、雑学になるなというのが印象です。
旋盤が貴族のたしなみ的なものだったとか知らんかったなぁ。。。
ねじとねじ回し この千年で最高の発明をめぐる物語 (ハヤカワ文庫NF)
- 作者: ヴィトルトリプチンスキ,Witold Rybczynski,春日井晶子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2010/05/30
- メディア: 文庫
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