中東複合危機から第三次世界大戦へ/山内昌之 ~中東の情勢はいまいち理解できない。。。~
中東情勢が世界に大きな影響を与えている。でも、その関係が複雑すぎて、どういう関係性があるのか?どういうことが起こると最悪な情勢が生まれるのか?というのがわからず、不安感だけが漂います。
ISも一時期の勢いがなくなったとはいえ、いまだに制圧されたとは言われてませんし。。。
そういうのも踏まえて、一度しっかり理解しておいたほうがいいかも、と思って読んでみました。
本書は、中東の問題について記載されており、地理関係や背景がわからないとわかりづらいところもありますが、非常に勉強になります。
本書のタイトルである中東複合危機というのは、次の定義によります。
中東で進行する第二次冷戦とポストモダン型戦争が複雑に絡む事象を、「中東複合危機」と定義してみたい。そして、芳しくない悲観的想定であるにせよ、シリア戦争や中東各地の内戦が結びついた中東複合危機が第三次世界大戦をもたらすのではないか、というシナリオも検討する必要がある。
イランとサウジアラビアの対立で利益を得るのが、IS。ISと対決する国際的取り組みが弱まる。それに加えて、ISに共感しがちな国民も一定数いることから、そこに付け込まれると、中東情勢が変わる。
ただし、イランとサウジアラビアの関係が、ロシアとトルコの対立を見直させるきっかけになる可能性もある。もともとロシアとトルコは、イランとサウジアラビアの調停に非常に積極的。トルコは自然にロシアに譲歩する機をうかがえる。
本を見ていると、キーとなるのは、ロシアとトルコではないか?と思えてなりません。
あまりにも思惑が複雑に絡み過ぎていて、理解がなかなか進まないです。事象の年表を作ったり、相関関係の図を描かないと、理解できそうにないです。
あとは、この中東危機が中国へどう影響するか?というところでしょうか?
もともとウイグルにはイスラム教の方がいるので、ISがウイグル人を媒介にして侵入していく可能性が高い。すでに取り組んでいるんではないかと。インターネットやサイバーの空間を利用して、中国攪乱を企てているとすると。。。
何かしらのことが中国国内で起こっているんでしょうねぇ。
ただ、ウイグルや新疆でなにかあると、レアアースといった貴重な鉱物が入手困難になり、また尖閣の時の二の舞になりそうです。
それも見据えると、技術革新はどんどん進めていかないといけないんでしょうねぇ。。。企業リスクというのをどうとるか?難しいものです。
昨今の北朝鮮の動きを見ていると、ここいらの話と結びついているのかな?と思ったりすることがあります。ただ、どこでどう結びつくのか?それは想像の範囲にすぎないかなと。
これからは北朝鮮の話に消されて、中東情勢が見えにくくなっていくのでしょうか。アメリカを含め大国の関心が北朝鮮に注がれるでしょうから、中東情勢で押されている側は盛り返す格好の好機到来というわけですし。
何にせよ、情報が乏しくなっても、情報をとったりして目を向け続けないといけない気がします。
以下、メモ書き
トルコの思惑:
エルドアン大統領は外交を内政のために利用するという危険な賭けに出ているのだ。これは、2015年6月の総選挙での敗北を挽回するために、トルコ・クルドのPKKを攻撃して、同年11月のやり直し総選挙で勝利を博した手法にほかならない。
ロシアの思惑:
プーチン大統領は、中東政策にせよ、対日政策にせよ、あるいは対米政策や対EU政策にせよ、すべてより大きな国際システムを見据えつつ、自分の権力をいかに発揮すれば、最も利益を得て影響力を高められるかを常に念頭に置いて、外交で手を打っている。
この2つの動き、トルコは内政に不安があるから、外交で国民の眼を外に向けさせようとし、ロシアは自国の利益の最大化に向けて突き進んでいる。