Otra célula del cerebro

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ローマ人の物語5 ハンニバル戦記[下]/塩野七生 ~スキピオの反抗も見どころだけど、上り詰めた人の転落への道も面白い~

前巻は、ハンニバルの猛威がすごかったですが、本巻はスキピオの反抗がすごい。

ハンニバルがしてきたことをカルタゴ舞台にやり返し、最終的にはハンニバルカルタゴへ戻させて、ザマの戦いでハンニバルを破るという離れ業までやりとげてしまう。

 

スキピオのすごさというのが伝わってくる。

ただ、成功に進んでいき、さらにハンニバルを超えたのは、レリウス、マシニッサという戦略を一緒に考え、ともに考えを共通にすることができる人が周りにいたかどうかの差だったのではないか?と思えています。

 

大きな戦略を立てて、実現していったところで、自分と同じような考えで動ける人が、別のところで同じように動ける。なんというか、アイコンタクトをとれる人がいれるかどうかなんでしょうね。。。

そこの差というのが、戦略を成し遂げていくのに必要なところなのかもと思ってます。

 

あと、本書で印象深かったのは、ハンニバルに勝利した後、上り詰めたスキピオの行く末でしょうか。。。

15年トップにいると、反発する分子も出てくる。その反発分子に政治的なミスを追及されて、失墜していく。

若くしてトップに上り詰め、そのあと長くその権力を握り続けることの困難さと、無理だと思うと、さっと身をひく柔軟さが必要なのだなと。

といっても、自分もトップであるわけでもないですし、そんなことを考える必要はないですが。。。

 

何はともあれ、歴史から学ぶということが多々あり、非常に読んでて面白い本です。

 

あと、カルタゴの崩壊も見てて、猜疑心にとらわれると、最後は国すらも亡ぼすということがあるのを見ると、なかなか難しいのだなと思わされます。

ザマ会戦(前202)が終わって、約60年後の前146にほろんだわけですからね。。。

そして、歴史から学ばなかったら、学んでいる側に徹底的にぼろぼろにされる。これすらも大事なことなのかなと。。。

 

最後に、印象的な内容を2つ引用。

優れたリーダーとは、優秀な才能によって人々を率いていくだけの人間ではない。率いられていく人々に、自分たちがいなくては、と思わされることに成功した人でもある。持続する人間関係は、必ず相互関係である。一方的関係では、持続は望めない。

 

ここには勝者と敗者しかいないという事実である。正義と非正義とに分けられてはいない。ゆえに、戦争は犯罪であるといっていない。

 

ローマ人の物語 (5) ― ハンニバル戦記(下) (新潮文庫)

ローマ人の物語 (5) ― ハンニバル戦記(下) (新潮文庫)