Otra célula del cerebro

気が向くままにだらだらと書いていきます。

村上海賊の娘(三)/和田竜 ~家を守るという想いで、裏切りの多い時代だったんだなぁと思わされます~

村上海賊の娘の3巻。

 

巻末まで読んで、ようやくここまできて初めて、木津川の合戦(海戦)が始まる。長かった。ここまでが長い助走であって、ここから一気にクライマックスに向けて突き進むんだろうというのが感想。

言い方は悪いけど、鈴木孫市はかわいそうな被害者かなと思う。だって、どう考えても和歌山に帰ろうとしていたのに、景に引きづりだされて、さらには苦手な海戦に引きずりだされたわけですし。そう思うと、孫市が不憫で不憫で。。。

 

興味をもっていった大坂で、夢破れかえってきたはずなのに、おとなしく結婚しておちつくはずだったのに、父親がつい真実を伝えたことによって、暴走開始。

その暴走のおかげで、話がどんどん戦争の方向へ進む、進む。

さて、その結末はどうなるんだろう。。。。

 

鬼手となった景がどうなるのか?というのも気になります。

 

あと、気になる点として2つ。

1つ目は、手痛く拒絶された本願寺に対して、景はどうして兵糧入れにこだわるのか?そもそもの景の行動に矛盾が感じます。考えや主張がなく、その場の雰囲気でのみ対応している感すらあります。

ここいらって感情的なところで話を作り上げるのもいいけど、じっくり考えるとおかしいよなって思えてくる。

織田包囲網の一貫で、そもそも織田の伸長に対抗するのが目的であったとするならば、その動きの流れだとすれば、合戦は起こるべくして起こったわけですし。

結局は、一連の話は、景という人物を木津川の合戦に絡めるためのギミックだったのではないかな?とも思えてきます。

 

2つ目は、家を守るという想いが、話の中心に据え付けられて、そこだけで話が作られている。そこに主張が入っているのが。。。

確かに、実際のところそうだったのかもしれないけど、功を成して、上り詰めようという野心があまりない気がする。泉州侍にそういうのがないのかな?とも思えたりします。

実際のところ、どうだったんだろうなぁ。。。

 

本作3つ読んでおもったのは、娯楽小説と思って読むと面白い気がします。

むしろ、村上海賊を中心にもってきて木津川の合戦を描いたという着目点が面白いので、それ時点でいい作品かなと思います。

ということで、ここいらの複雑な感情をもちながら、第4巻、最終巻に突入します。

 

それにしても、武吉の戦略眼のすごさには痛感させられます。小早川の動き、上杉の動きを読んだうえで、出陣をいかに伸ばすかに知恵を絞ったりしてますから。

そういう武吉でも親ばかなのも面白いかな。。。

 

村上海賊の娘(三) (新潮文庫)

村上海賊の娘(三) (新潮文庫)