私本太平記 世の辻の帖/吉川英治 ~こんな面白い物語を読んでなかったとは。。。~
人々の様々な思いが錯綜しながら、後醍醐天皇の隠岐流しが決行される。
この後醍醐天皇を隠岐へつれいてくのをまかされたのが、佐々木道誉。機転のきいた策略で、うまく宮方の作戦を煙に巻いていく。
ただ、佐々木道誉の行動が宮方のようにも見えるし、幕府方のようにも見える。どちらかというと、判断を決めかねているのか、両方を天秤にかけておいしいところにのっかかろうとしているのか。そんな感じがする。
こういうタイプの動きをすると、動き方をミスると、両方の敵という風になってしまうので、なかなかやりづらいところだとは思うけど。。。
それでも、面白い動き方をするなぁというのが素直なところ。ここまで巧妙には動けませんわ。。。。
それ以上に、児島高徳の愚直さというのは面白い。ここまで愚直に進める人はある意味うらやましい気がします。
結局は、佐々木道誉のおかげなのか、後醍醐天皇は隠岐へ幽閉されます。
さてさて、ここからどうやって後醍醐天皇が脱出するのか?気になるところです。
そして、新田義貞と足利尊氏。いつごろから動き出すのか?そこも気になるところです。
ここまで1~5帖まで読んでの感想は、「こんな面白い物語を読んでなかったとは。。。」というのが偽らざるところです。
日本の後世とくに、幕末に多大な影響を与えた物語。これを読んでから、幕末へ目を向ければ、もっとより深く幕末の志士の想いをみることができるのではないだろうか?とも思えてなりません。