「戦国大名」失敗の研究/瀧澤中 ~成功例よりも失敗例から学ぶことのほうが多いのかもしれない。~
2代目がだめにすることが多いといわれています。
本書は戦国時代の2代目、武田勝頼や豊臣秀頼といった方々にフォーカスをあてて、2代目でどうしてダメになっていってしまったか?について書かれています。
武田勝頼は、一時期武田信玄よりも大きい領土を得るくらい優秀な人だったんですが、家臣団との間に不協和音が流れ、その隙間をついた織田・徳川にやられたという事実もあります。
リーダー個人の力を比較しても、周りを含めた力を分析しないと、失敗や成功の理由は見えてこない。
周りを含めた力、とは何か。
それは、政治力である。政治力とは、自分が思う方向に人々を動かす力だからである。
政治力が重要となると、政治力についても少し記載。
政治力とは、自分の考えを実現する力である。
政治力が大きい人というのは、今、人々が何を欲しているのかということに敏感である。なぜなら、政治力は人々の力を結集して一つの方向に向かわせる力であるからだ。人々がまったく欲しないことをいくら声高に叫んで、金を配り、銃で脅しても、人は動かない。こうしてほしい、という欲求を実現していくれる人間に、人々は自分の力を与えるのである。
結局は、政治力というのは周り意思、想いを実現につなげられる人。その力が強ければ強いほど、多くの人の想いを実現できる。
ただ、逆に他人の想いをつかめなかった場合は、人が動かない。武田勝頼は戦に勝つということだけに力を注いで、周りの人の想いを実現するという力、つまり政治力を発揮するに至らなかったのかもしれない。
これを見ていると、組織の長というのは大変だなと。想いを描くということがどれだけ大事か。その方向が組織の総意に近ければ、周りが動くのでしょうが。。。なんか組織の長というのはある意味、神輿みたいなものかも。ただ、責任を負うという大変な仕事がありますが。。。
こういう目線でみていくと、統率する側がキーのように見えますが、統率される側のことについてもこう記載があります。
同時に考えなければならないのは、家臣たちのありようである。
組織論はややもすると、リーダーに過大な責任や能力を求めるが、家臣もその組織で生きている以上、組織維持の責任の一端を担っているはずである。
であるならば、たとえ多少気に入らない当主であっても、これをうまく支え、家を保持するのが家臣のありようではなかろうか。
つまり、統率される側も、どんな形であれ、組織の長を担いだからには、その方を支えていかないといけないということ。
武田家家臣は、武田家がほろんだあと、武田家を支えなかったということで処罰を織田家から受けてたようです。
家臣側としては、今与えられている環境で、やれることをやっていくというのが一番大事なのかもしれないですねぇ。
政治力を活かすには、次のことを頭の片隅においておいたほうがいいかも。
受け継いだ政治力を生かすには、第一に勤勉さが必要である。
資産や家柄を引き継ぎ、あるいは強大な組織の中にいた者。いずれにしても、歴史は怠惰な者に権力を握らせてはいない。
第二に、現状を正しく認識する謙虚さ。
第三に、先代は、後継者が人事刷新できるだけの人材を事前に養成しておく。
第四に、意識して政治力を保持する(人気と信頼の醸成)。
ということが言えそうである。
なかなかできることではないですが、後進の育成というのが非常にキーになりそうですね。。。
あとは、いい情報だけ聞きたくなるのをぐっとこらえて、現状を正確にとらえる必要もあると。。。
上に立つのは大変。