空自の広報部を舞台とした物語。
一度ドラマ化されているようです。
読んでて思うのは、広報部って大変だなというのと、空自という特殊な環境で広報するときに考えないといけないことが多いということ。
それと、空自の転職というか異動の多さですかね。
異動が多いということを言いかえれば、仕組み上は仕事を人につけないようにして、変わりが常にいるようにしているということ。そういう仕組みづくりは面白いなと思います。
最後のところの3.11時の松島の話は、いろいろと考えさせられます。あとがきのところで、いろいろと取材されての話のようですから。
救援物資が届いて、自分たちが被災していても、救援物資を横流しをせずに、被災者にまわしていった。そして、自分たちは、自衛官の仲間からいただいたもので回していた。
こういうのを見ると、自衛官って練度が高いのと、国民を守るためという意識をきちんと持たれているのだなと。ただ、次の言葉は本当のことなんだろうなと。
有事に果たすべき義務があるということは、それだけで拠り所になります。辛いことがあったとき、自分にできることがあるだけで人ってすくわれるでしょう?だから僕たちは被災者を支援しながら、自分自身を救ってもいるんです
それと、もう一つ。
P免(パイロットをおろされた)になった空井が、稲葉に対して言った言葉が非常に心に残ってます。
あの・・・記者という職を失ったんじゃなくて、ディレクターという職を新たに得たって考え方はどうでしょうか
~中略~
僕も似てるっちゃ似てるんで他人事と思えなくて。でも、自分はパイロットじゃない、自分はパイロットじゃないって思ってるよりも、これから広報官になれるんだって思った方がいいなって。だって、パイロットの頃ばっかり振り返ってたら、僕の人生って三十手前にしてもう余生じゃないですか
自分自身、会社に入った際に、希望していた部署に入れず、ある意味自暴自棄的なときもありました。そして、その経緯もひょんなことから知ってしまって、なおさらです。
ただ、それでも働き続けているといろいろとわかっていくこともありますし、自分の得意分野が広がっていくのを感じると、非常に楽しいものがあります。結局、過ぎたこと、どうしようもないことを悔やむよりも、現実を受け入れて前を向いて進む。そのことが大切なのかなと。
いろいろと思うところはありますけど、今振り返ると、現状でもいいのかもと思っています。行きたかった部署では味わえないような経験を積めましたし、その分野でそれなりの知恵も身に付けることができた。そう思うと、吹っ切れています。
現在は、ひょんなことから行きたかったはずの部署と絡むことが増えてきてますから、人生ってわからないものだなと思ってます。
賢者の書で書いてあった、人生に無駄なピースはないというのをちょっと感じたり。
こういう前向きになるのってなかなか難しいことですが、時間が解決してくれたような感じがしてます。