Otra célula del cerebro

気が向くままにだらだらと書いていきます。

腐った翼 JAL65年の浮沈/森 功 ~他山の石として、何度か読み直したい~

内部抗争なんてやるものじゃない。

もっと外に向いて、顧客のことやライバル会社のことをきちんとみないといけない。

 

これが本書を読んでのまずの感想です。

 

ライバル会社と戦うために結束して取り組むときに、内部に向かって戦いを続けるというのは、必要な力を半減させていってしまう。もしかしたら、足の引っ張り合いなんてやっていようものなら、マイナスにしかならない。

内部の活性化のためには、会社内でいろんなところで切磋琢磨するのはいいのかもしれない。ただ、外と戦っていくという同じ目的のベクトルのために、切磋琢磨するのであって、相手を蹴落とし自分の地位を高めるためだけにするというのは間違いだなと。

 

JALリーマンショック後に2010年に会社更生法を申請し、上場廃止されてます。そして、2年半後に再上場。そのときの会長がTDKの稲盛さん。この方なくして、加速的な復活はなかったというより、政府からの厚い支援があっての復活劇。

日本航空 - Wikipedia

 

このJALが苦境に陥った原因の1つとして、10年間の燃料費を据え置くという取引をしてしまったということ。1ドル180円とかでしているなんて。。。現状120円くらいですから、その差額は大きな負債となります。

では、その負債をどうかくしたか?それは、バブルの時期であって、好業績の中に隠れたというのと、飛行機の価値に転嫁させたという2つのマジックで逃げた。それが、コスト高となり、後々のJALの苦境の始まりとなった。

 

もうひとつは、あまりにも多くの関係者がいたということ。政治家、官僚、会社役員、組合など、関係者が多ければ多いほど、物事の決定が煩雑になり、さらには遅くなる。そのことを考えると、社内だけで済むというのはまだましなのかなとも思う。

政治家や官僚が絡む企業は大変だなと。

 

これら2つのがんじがらめ状態から、脱却するチャンスはあったのだけど、それがなしえなかった。それは、その先のビジョンを描き切れていなかったため。どう立て直していくか?という大事な方向性が描き切れないまま行動を起こしてしまった。

 

JALのトラブルを見ていると、いろいろと参考になることが多いです。

この激動の世の中で、内部闘争なんかしている暇もないし、現状路線で絵を描いていると、失敗することもある。

対策を常に用意しておき、あらゆるケースに対応できる体制を作っていくことと、現実を早く受け入れて、その対策を行っていく。これらの大切さが見えてきます。

 

自分自身の今後の戒めとするため、反面教師としてちょくちょく読み直したい本です。

 

腐った翼 JAL65年の浮沈 (講談社+α文庫)

腐った翼 JAL65年の浮沈 (講談社+α文庫)