Otra célula del cerebro

気が向くままにだらだらと書いていきます。

沈黙の王/宮城谷 昌光 ~沈黙の王に関しては短編集でなく、1冊でがっつり読みたかった~

以前に読んだ本が電子書籍化されていたので、購入。

宮城谷昌光さんの作品は結構読んでいる気がします。ちょっと説教くさく感じるときもありますが、それ以上に多くの登場人物の考え方が見えてくるので、そちらの面白さが上回ってます。

登録している読書メーターを見る限り、最大が吉川英治さんの作品で7作品ってなってますが。。。登録し始めたのが1年くらい前なので、ここ最近の乱読で薄まっているだけな気がします。

まぁ、ここいらはこれから登録を続けていけば、傾向がどんどん見えてくるのでは?と思ってますが。。。徐々に読み直したときも含めて徐々に登録を続けていこうかと思います。

 

さて、本作の話ですが、短編集です。5作品入っていて、だいたい各作品10-20分で読み終われますので、ちょっとした空き時間に読むことが可能。

個人的に読んでた作品の中では、最後の叔向の話(鳳凰の冠)が好きです。人としてというよりも、栄枯盛衰の中でどういう佇まいでこうどうを起こすのか?というところが特に。自分の身に危険がおよんだときに、逃げるのではなく、身の潔白を証明することを考えて行動したりとかのところはなかなかできるものではない。さらに、自分の身の潔白を示すのに、そう仲もよくない人物、ただし信念で動ける人をあてにしたりとか、読んでて憧れるというかなんというか。

兄である伯華との話ででてきた内容で次のがなかなか奥が深いかなと。

寵を受けても驕らず、驕っても高い位を望まず、低い地位にいながら怨まず、怨んでもおのれを抑えることのできる人は少ない、と。

これって、深いですよね。

あと、もう一つ。

人には容(すがた)というものがある。人は他人の容をみて、その人の内容を察するのである。

容が端しければ、内容も正しいとみる。

この言葉、他人に仕事を説明するときのことを考えるとわかる気がします。やはり、しっかりと容姿も考えないといけないんでしょうね。やる気というか覇気というか、さらには清潔感も。。。

うーん、難しい。

 

あとは、褒似関連の2作品が読んでいて面白かった。特に、自分の身をかけて守ろうとしつつも、家を残すための行動も忘れていなかった友の話が非常によかった。

タイトルになっている沈黙の王の話は短編集ではなく、思いっきり一冊分くらいの内容で書いてほしかったなぁ。

 

もともと1990年代にだされた本。今読んでも当時とは違う受け方ができるという意味で新鮮な感じで本を読めたのが収穫です。 

沈黙の王 (文春文庫)

沈黙の王 (文春文庫)