イスラームの「英雄」 サラディン―十字軍と戦った男/佐藤 次高 ~中東の歴史ってあんまり知らないんですよね。。。~
高校時代、日本史をとったのであんまり世界史についての知識が乏しいので、局所的に本を読むのが正しいのかどうなのか。。。と思いつつも、中東というと、石油の産出地でもあり、多くの文化のことも考えると、非常に重要な場所。
日本から見ると、どうしても知らない世界のことのように思えてしまいます。どこか遠くの世界のことのように。
情報が瞬時に飛び交う現代において、距離的な価値観で物事を見ると失敗してしまうことも多々。そう考えると、中東で英雄とされる方がどういう方であったかというのを知るのは大事なことではないかな?と思うのです。
本書はサラディンの生涯に光を当てています。
十字軍との闘いや、エルサレムの奪還とか華々しい成果もありますし、英雄視されるのもわかる気がします。
読んでて思ったのは、サラディンがかなり寛容な人物であるということ。敵対した相手なんだから、もう少し厳しくしてもいいのでは?と思うところもあるけども、解放したりしている。ムスリムの教えなのかもしれませんが、なかなかできることではない気がします。
サラディンの作った王朝は、絶対的な王者というわけではなく、自らの輿望により多くのものをまとめているだけの状態で、継続する政権基盤を作りきれたわけではない。
その基盤を作りきれなかったのは、十字軍との闘いが幾度もあり、また場所が限られた場所ではなく、エジプトやシリアと場所が変わっていったことなど、外乱に大きな影響を受けていたような感じがします。
ただ、この外乱がなければサラディンが世にでてくる可能性も低かったわけですし、難しいところです。
最後のところに書いてあるサラディンができなかったことを後の人々が成し遂げ、エルサレムの完全奪還につながっていくわけですが、文明の進んでいたイスラム圏にとっては単なる損失であったわけです。
むしろ、国力を弱めてしまい、チンギスカンのモンゴル帝国の拡大を防ぎきれなかったような感じがします。
サラディンという英雄が十字軍との闘いに勝ち、勝ち取ることができたからこそ、何度も続く十字軍の戦いが始まり、そして最終的にはイスラムの力を弱めていったちすると、不思議な感がしてしまいます。
やはり、長すぎる戦というのは国の体力を奪っていくということなのかもしれません。
可能であるなら、サラディンが奪還したのち、ヨーロッパとの闘いを終結させる手立てを打つことができたらよかったのかも。
この十字軍の戦いでイスラム教vsキリスト教が悪化していった気がします。
もうちょっと、イスラム圏のことや、十字軍のことなど、いろいろと勉強したほうがよさそうな気がします。
歴史の流れを知る上においては。

イスラームの「英雄」 サラディン――十字軍と戦った男 (講談社学術文庫)
- 作者: 佐藤次高
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/11/11
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