今年映画化されており、つい気になって本を読み始めてみました。
秀吉が若い遺児を残してこの世を去ることから始まるこの物語。秀吉が偉大過ぎであり、世継ぎが幼く、かつ朝鮮出兵等で国内を疲弊させてしまっていたことからの、政情の不安定さ。この2つの遠因が徐々に豊臣方の分解へとつながっていく。
その中でも主役として注目されるのが老獪な家康と、忠義ものの三成。
この2人の対比が非常におもしろい。三成の忠義すぎるがゆえに、老獪な家康の手のひらで踊っているかのごとく振る舞う三成。
それもこれも、三成が頭よすぎるせいなのかも。頭でっかちで、理屈が先にくる。人って、理屈で動くのではなく、心で動くというのがわかってないような気がします。むしろ、秀吉の人懐っこさの人を抱え込む方法を学んでいたら、うまく豊臣方が一枚となっていったのかも。
でも、生まれの話もあるから、なかなか難しいのかも。やっぱり、大きな組織になると、派閥というものもできてくるわけで。。。
三成と豊臣方の武辺者との仲が悪くなる経緯も書かれており、なぜそうなったのか?というのをじっくり見えてくる。そういうのを見ると、やっぱ一枚岩にはなかなかなれないんでしょうね。秀吉がいたからこそ、なんとか覆いつくせていたというか。。。むしろ、この状態を紐解き、そこを利用している家康がいかに老獪であったか?というのが見えてくるのがすごい。
その家康の懐に飛び込む三成。それはすごいなと。そして、その三成を逃がし、自分の目標を成し遂げるための手はずを整える家康。ここのところが面白い。。。
それと、面白いのは島左近。もし、三成が勝った場合、どうなるのか?というのをすでに想像をしている。そして、世の中が家康を求めているということすらもわかっている。この状況下でどう振る舞って、関ケ原へとつながっていくのか?そこが興味深い。
それと、豊臣政権の重鎮である前田利家の学問に対する考え方がいい。
「自分は学問をするのがおそかった。みなも学問をせよ」と若い大名をつかまえては説きまわっているという。利家の感動した言葉というのは、
以テ、六尺ノ孤ヲ託スベシ
という言葉であった。
勉強しろといわずに、自分を落としておいて、勉強をしたほうがいいと説く姿はいい。そちらのほうが上から目線という感じもだいぶないですからねぇ。
さて、中巻を楽しみに読むこととします。