Otra célula del cerebro

気が向くままにだらだらと書いていきます。

沙門空海唐の国にて鬼と宴す 巻ノ三/夢枕 獏 ~どう結末にむかっていくのか楽しみ。~

高力士の阿倍仲麻呂への手紙が非常に長い。
長いんだけど、面白い。
安部仲麻呂の手紙とあわせて読むことで、楊貴妃がなくなったことの真相が見えてくるという複眼的なところがいい。

さらに、秦の始皇帝廟のこともでてきて、さらにそこで楊貴妃がなくなったというのも面白い。偶然なのか、狙ってなのか?興味深いです。

さて、当時の唐の風潮を見ていると、不思議に感じることがあります。
皇帝が降りたときに、側近もあわせて退官するまではいいんですが、そのあと地方に飛ばされ、死を賜るというところ。なぜ、いままで国を支えてきた人々をおいやらないといけないのか?
考えてみると、皇帝の息子がなるにしても、前皇帝の影響力を排除したいというのもわかる気がします。
・新しいことを変えようとすると、前皇帝で利権を得ていたものがそれを守ろうとするから、抵抗勢力となり、新しいことが進まなくなる。
・前皇帝の人々がいると、現皇帝の側近を上位の立場に押し上げることができず、自分の思うようにできない。
帝位につくまでに、自分の教育係等の自分の側近を有しているわけだし、さらには周りとぶつかりすぎると、自分が排除されるということも考えられる。
そう考えると、前政権の影響力を排除していくという形で、国家運営に新しい息吹をいれていくんでしょう。

ということを考えると、順宗皇帝により、玄宗上皇の腹心でもある高力士が玄宗上皇から離されていたというのも理解できます。

高力士もぴんぴんとしていたのなら、死を賜っていたんでしょうが、体がぼろぼろであり、権力がなくなっていっているとわかっているのであれば、死を賜る必要がないと判断されたということかな。
そのおかげで、楊貴妃の死の真相がわかったというのも皮肉なものだなと。

ただ、この手紙、途中から黄鶴がでてくるところが面白い。
死が近い感じの黄鶴と、高力士。この二人の不思議な関係が見ていて興味深いかなと。
時間が物事を解決させたのかもと思わされます。


ただ、楊貴妃が仮に見事な姿で戻ってきたとしたら、おそらく玄宗上皇はどこにも出さないだろうなぁと思います。
そして、また国が乱れるという。。。
自分の保身もあるだろうけども、そうなることを憂いて、手立てを打った高力士は苦悩したんだろうなと。

権力をつかんだが上に、それを失うことにおびえてしまう。
そう思うと、権力をつかむというのは幸せなことなんだろうかなと思ってしまいます。。。

さて、面白かったので、次ラストを早々に書こうかと思います。