キリンビール高知支店の奇跡/田村潤 〰キリン復活の裏側にもいろいろとあるんだなぁ〰
ビールというと何を飲むか?
個人的に飲み屋で飲むときは、キリンの一番搾りが多いかなぁ。とはいえ、アサヒのスーパードライも飲みやすいので飲みますが。。。
個人的には、サッポロの赤ラベルがある飲み屋にいくと、ついついそれを選びますね。珍しいし、麦芽の味が強いから。
でも、出張帰りの新幹線で飲むのは、サントリーのプレミアムモルツ。自分にお疲れさま!という意味も込めて!
とはいえ、このビール業界は、生き馬の目を抜く世界。
アサヒビールのスーパードライによって奪われた地位を、2009年にキリンビールが奪い返すのに何をしたのか?というのが、この本には書いてあります。
とはいえ、そのあとアサヒビールに抜き返されてしまってますが、徐々にアサヒ、キリンのシェアが近づいていってます。
このシェア争いがどうなるか?はさておいて、 アサヒに抜かれてしまったキリンビールをどう立て直していったか?というのが本書の内容になります。
著者が支店長として赴任してたのが、四国の高知支店。
売り上げシェア全支店中最下位を1位へというところまで、しかも60%シェアという圧倒的な成果をたたき出した。
その後、成果を認められ、高知支店長⇒四国の統括部長⇒東海地区の統括部長⇒本社の本部長⇒副社長へとどんどん出世されていってます。
本書を読む限り、高知支店時代の取り組みで得られた知見や経験が、その後のステップで強力な武器となっていっている感じがします。どローカルで成功したという成功体験およびそのときの武器が、次のステップにいっても取り組むための戦う姿勢にいきていったのでは?と。
著者が他社の幹部と話したときにでてきたことを書いてましたが、それが印象的です。
海外で闘うにしても、やはりまず日本の地方のあるエリアで勝ち方を極めていることが非常に大事なのだそうです。そのエリアをよく見て、エリアの特性や住んでいる人、風土とか、チャンネル全部ひっくるめて最も適切な正しい手を打って実績を上げることができた人間こそ、海外に行っても通用する。サウジアラビアに行っても、ドイツに行っても、そのエリアで最も適切な打ち手を自分で考えて実行することができる。そういう力量とは国内のエリアのマーケティング、営業から養われるのだと。
自分の与えられた仕事の範囲が狭いからといって、ふてくされるのではなく、狭い範囲だからこそ、その中でやれることを徹底的に試して、成果をあげる。そのことが将来大きな舞台へ旅立った時に役立つ力となる。
そして、その力を身に着けるのに、自分で考えて行動することが大切。考えるヒントは現場にある。
現場にこそ、日々通うべきであり、毎日会議なんてしても答えはでない。
やると決めたことは、やり続けるのは4か月以上続けること。
単純なことだけど、やり続けるのがタフなことと思います。ただ、そうだからこそ、差が生まれ、強力な競争力になっていくのだなと。
やはり、「ローマは一日してならず」ということなんですねぇ。
自分を一度見直して、基本的なことをこつこつとやることが大切。そのことを再認識です。
以下、いいなと思ったことなど
主体性をもつ
指示待ちスタイルの変革。自分の頭で考え、行動して、主体的に議論をする。組織や立場にとらわれず、最終目標に向かうために自由に意見を述べること。組織の壁に委縮して大事な意見を述べないことは、ひいては組織の損失になる。
基本を徹底する
ビジョンと戦略に基づき、愚直に基本を繰り返す行動スタイルが大切。
あるべきリーダー像(著者の考える)
- 正しい決定を下せる
- 現場を熟知している
- 覚悟と責任感をもっている
勝つための「心の置き場」
- 事実をベースに考えつくす
現実を正視してそこから学ぼうという誠実さが必要。
- 理念
自分は何のために仕事をするのか、この会社は何で成り立ってきたのか。根っこや源流は何なのか。そこを考えつくして行き着く、いわばアイデンティティ。
- ビジョン
理念に基づいた”あるべき状態”。理念、ビジョン、戦略、戦術が一貫性をもてば結果がついてくる。
- 腹をくくる
リーダーが部下の信頼を勝ち取るのは、沸騰するほどの熱を発しているとき。高い熱をもたないと、部下だけ高い熱を持たせるのは困難。
- 成功体験
成功体験が生まれると、リーダーは信頼を得ることができるようになる。また改革というチャレンジを始める時も、実績が大きな力となる。
- ブランドとは守りの思想
ビールでいえば、今飲んでくださっている人を徹底して大切にすることが重要。
ブランド育成で重要なのは一貫性。
- リーダーシップの確信を支えるもの。
まず、ひたすら考えること。そして、未来は予測できないが、創ることができるという思想。この思想で今はダメな現場がだめでなくなります。事項力への信頼。戦略を柔軟に実行できる適応力。
- 量は質に転化する
基本活動を愚直に地道にやっていると、いつかそれが質を生み出してくる。