トヨタ 現場の「オヤジ」たち/野地 秩嘉 ~オヤジはすごい。~
河合満さん。トヨタの副社長。
その方を通して、トヨタという会社に多く存在する現場の「オヤジ」たちについて書かれた本。
トヨタの副社長になられる方というのもあり、ものすごく強烈というのが印象。エッセイであるから非常に読みやすいが、どの方もオヤジと呼ばれる方は、人間身があり非常に好感が持てる。
特に、工長となったときに帽子を与えるのを残したのもいいなと。工長という地位につき、部下の面倒をみていくという覚悟をその帽子一つを渡すという行為でもって表している。
効率というのを追い求めていても、人の心に関わる節目のところは残して置いていったほうがいいということなんでしょう。
ここから気になる言葉。河合さんが先輩から言われた言葉。
現状維持は退化だぞ、常に先へ先へ行くんだ
現状維持でよしとはしない。周りが先へ進んでいるから、現状維持では退化というか遅れとなっていく。
人材育成について。
金を出して、失敗しても、そいつがわかればそれでいいんですよ。育てるって、そういうことなんですよ。
現場で教わって、現場で失敗して、現場で育つ。
スマートな経験ではダメで、失敗して反省させていろいろと考えることができるようにしていく。
そして、ロボットの使用について。
まずは人間の技能を上げる。手作業とラインにおける技能をスパイラルアップしていかなければならない。技能のある人がロボットに教えれば、もっと高いレベルの溶接をするようになる。
結局、ロボットは人間が設定した範囲内での最適化はできても、そもそもその設定が間違えていたら意味がない。
それよりは、そのうまい人を育成して、その物まねをさせることが大事。
こういうのを見ていると、人材育成というのは時間もかかるし、失敗をみすえていかないといけないと考えると、なかなか先が長い気がします。