ラーメンと愛国/速水 健朗 ~ラーメンって本当にいろいろとある。。。~
普段、あんまり気にせずにどこそこのラーメンがおいしいとか、久しぶりにラーメン食いたいなと食べに行ったりすることが多々。
地方に行けば、ご当地ラーメンがあるよねといいつつ、博多ラーメンや、喜多方ラーメンやら、熊本ラーメンなどなどといったおいしいものがあり、いまや国民食といってもいいと思えるくらい。
そのラーメンの歴史について書いてあるのが本書。
チキンラーメンから始まり、現代のラーメンにつながっていく。そして、ラーメン二郎についても言及。
本書の著者は、このご当地ラーメンについては、こう書いてあります。
戦後の日本において、地方が個性を失い、固有の風土が消え去り、ファスト風土化する中、観光資源として捏造されていったのがご当地ラーメンであるというのが筆者の主張である。
なるほどなと。
ラーメン自体、もともと中国の食べ物ですし、きたのも戦国時代あたりといわれています。うどんが空海とともに来たともいわれたのを考えると、雲泥の差があります。
そのラーメンがご当地ラーメンのように広がっていっているのを、ブラックバスと例えている筆者は面白い例えだなと。
田中角栄の「日本列島改造論」で、日本中に高速道路や新幹線といった高速移動網が整備されていく中で、徐々に、そして確実に画一的になっていく日本国内。そうなっていくと、差がなくなれば、観光資源が減っていき、観光業がなりたたなくなっていく。
そういうときに、ラーメンに地方性を持たせることで、ご当地ラーメンが誕生していったという流れはしっくりくる気がします。
それと、ラーメン道が言われるようになったのが、テレビチャンピオンやら、テレビの影響が大きい。
どうも、ラーメン屋って頑固・職人肌ってイメージがありますが、そのイメージもテレビから来ていると思うと、テレビの影響力ってすごい。
ただ、ラーメンのように、土地々々や店舗ごとに多様な味を味わえる食べ物というのはそうそうないものですから、これからも進化していってほしいものです。
いつでも安価に食べられるラーメンを、工業製品としてつくる
この考えってすごい。この発想があるからこそ、チキンラーメンをはじめ、即席麺がでてきて、かかすことのないものになっている。
そう思うと、このくらいのシフトチェンジができるものを探していくと面白いのかもしれない。