ガンダムUC 5 ラプラスの亡霊/福井晴敏 ~みんなが知りたがるラプラスの箱の中身ってなんだろ?~
5巻は、次の2つの話が主なメイン。
- UCのLa+プログラムが指し示す「緯度0度、経度0度、高度200キロメートル」には、ラプラスがある。そこに行くと、何が起こるのか?
- 地球に降り立ったリディとミネバ
おもに、ラプラスにかかわるほうが多い気がします。
ラプラスのところに、ラプラスプログラムが行き先を指し示す。意味深な気がします。むしろ、そのことがラプラス爆破テロと、今回のラプラスの箱の話が結び付けているような感じすらしますね。
実際、たどり着くと、そのときのリカルド首相の演説が流れてきたわけですから。
その中の一部として、気になるところが一つ。
(小さくなった揺り籠から這い出した赤子は、成長をしなければなりません。われわれは宇宙移民計画を実現する過程で、共通の目的のためなら結束できると世界に証明しました。では、その次は?)
”声”が問う。答えはなかった。おれたちは、まだ百年前につむがれた可能性の中にいる。いまだ揺り籠から抜け出すことができず、可能性という名の神と向き合えずにいる。溢れ出した言葉が額のあたりに凝り、薄い光になって爆ぜると、自分の意識が翔ぶのをバナージは知覚した。傍らにいるダグザの存在も、リニア・シートに収まる体の感触もあやふやになり。爆ぜた光の向こうで”声”の主が笑いかける姿を幻視した。
では、その次はーーーー?答えられないバナージを見つめ、<ラプラス>の亡霊が嗤う。《ユニコーン》の一角がゆらりと持ち上がり、白い装甲の継ぎ目から赤い光が滲み始めた。
ユニコーンとラプラスの関係は何か?カーディナス・ビストの意図は?ここらも気になります。
リディの素性がわかってくると、面白いですね。リディ・マーセナス自身、その出自が地球連邦政府の重役を出し続けている家に生まれ、その出自が嫌だからこそ、軍に入ったという経歴をもつ。
このリディの出自と、バナージ(ビスト財団の総帥の息子)がラプラスの箱をめぐって絡む上に、ミネバ(ジオンの姫君)もいる。
まだ中盤くらいだと思いますが、ここからどう話がつながっていくか?というのが面白いです。
それと、財団や政府がひた隠しにしようとしているラプラスの箱、これがどういうものか?最期には明かされるのでしょうが、そのあとどういう風に落とし込むのか?この大きな伏線を回収しきれるのか?というところにも注目して読んでいこうかと。
最期にある戦闘シーンで、素人同然のバナージを狙い済ましてってのが出てきます。ユニコーンは、それを避けるうえに、攻撃をしかけたのを見ると、なんというか、ユニコーン自体、もしかしたら操縦者を人として動かすものではなく、その想いを具現化するための装置として設定しているのかもしれないのかなぁ。
ここらもあとで解明されるのかなぁ。
機動戦士ガンダムUC(5) ラプラスの亡霊 (角川スニーカー文庫)
- 作者: 福井 晴敏,美樹本晴彦,大森倖三
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2010/07/31
- メディア: 文庫
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