投資ファンドとは何か/北村慶 ~投資ファンドのイメージが少しはかわった。でも、まだ悪いまま~
投資ファンドといえば、「のっとり」、「はげたか」など負のイメージが付きまとう。ただ、本当にそうなのか?悪いイメージで、存在し続けるなら、よほど儲けがいいのか?それとも、実は違うのか?というのを読んでいくとわかる本。
ただ、10年前の書籍なので、最新版等あればそっちを読んでもいいかもしれません。
結論からすると、投資ファンドのイメージどおりのことはある。
理由は、利益を追求して行動を起こすため、ときに過激な要望を繰り返すことがある。自分のファンドさえ儲けが出ればいいと考えて実施している。その行動を見ると、負のイメージがつくのがわかる。
一方で、投資ファンドに介入されることで、その企業がもつ本当の魅力を見出し、さらなる成功へのステップを歩み始めたり、ベンチャーが世の中にでていくこともあるので、企業のイノベーションを起こしうる存在。
この矛盾する2つをつなぐと、投資ファンドは劇薬という言葉が頭に浮かびます。
ただ、投資ファンドが生き残るのは難しい。4年間業績トップ25%でいれるのは、200社中2社。浮き沈みの激しく、入れ替わりがすぐ発生する新陳代謝の激しい業界。
世の中の変化を的確に捉え、その時流ののることがいかに難しいのか?を示している。市場を出し抜くことはできないということなんでしょう。
投資ファンドの基礎知識として次のものがあります。
企業投資ファンドには主に2種類有。
- バイアウトファンド
- ベンチャーキャピタル
バイアウトファンドの中でも2種類
・アクティビスト・ファンド・・・のっとり 物言う株主
ディストレスファンド ファンドNAVI ファンドの基礎知識から種類や比較など
基本的にバイアウトファンドは、企業価値を高めてそれによる株価上昇を得て、利益をあげるというのが基本的。アクティビストは、企業価値が十分に評価されていないと考えるところへ投資し、ディストレストは、傾いた企業の経営を立て直して、それによる利益をあげるというのの違い。
ベンチャーキャピタルについて。
一般的にベンチャー企業は儲けがでるのに4,5年くらいかかり、投資以上の収益をあげるのに7年近くかかる。ファンドとして収益を安定させるのに、多くの企業に出資して、回収時期をずらしていくことで成績を安定させることをしている。
前倒し等があると、収益がばらつく要因になる。
ベンチャー企業に、お金の支援だけでなく、アドバイス等をして精神的にも支援する。それがありがたく成功したところも、その点に触れているところが多い。
日本にはまだ少ないが、アメリカには多い。グーグルはもともとベンチャー企業。ベンチャーがでてくることで、企業の新陳代謝が進み、イノベーションがおきる。
日本は、当初から支援する「エンジェル投資」等をせずに、IPOが見えてきた企業を支援する企業が多い傾向がある。
こういうのを見ていくと、どれも利益をあげるために様々な手をつかっているのだなと思います。
IPO関係だと、ベンチャーキャピタルのロックが上場後どのくらいで解除されるか?というのが肝。
ただ、利益を早く確定させたいのであれば、さっさとベンチャーキャピタルは売りぬけて、次の企業へとむかっていくんでしょうねぇ。
あと最後のところに、ある一言を。
一般の個人投資家は、国内外の「株式」と「債券」をポートフォリオの基本に据え、「投資ファンド」への投資は行わない、あるいは、行うとしても限定的な資産配分割合とするべきであると考える。
この本読んでの感想は、「それいうんかい」というのが一番の感想。それいっちゃあ、いかんでしょ。

投資ファンドとは何か 知っておきたい仕組みと手法 (PHPビジネス新書)
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