そしてドイツは理想を見失った/川口マーン惠美 ~物事の流れを見ていくと勉強になる~
ドイツの変遷について書かれた本。
特に、ここ最近の動きについて書いてあり、非常に興味深い。
テレビ等でしかドイツの情報は入手していないので、非常に参考になることも。
ドイツは過去との決別をするために、人道主義を推進していた。それがメルケル首相になってなおさら顕著に。
ただ、メルケル首相が長期政権になるにつれ、徐々に変化が。
メルケルの政策をたどっていくと、当初の政治と、権力が固まってからの政治のあいだに、大きな変遷があることが見てとれる。権力が万全になってからのメルケルは、以前のように、左右のバランスを見ながら政治を進めていくという慎重さを手放した。
自分の権力を維持するために、風見鶏的なことを進めていく。そして、議論すらしないとなると、その場しのぎにはなるだろうけども、徐々にだけど反感を買っていくだろうし。。。
エネルギー政策しかり、難民政策しかり。一部は逃げてたりするから。。。
そして、ドイツが経済的に復興するにつれて、EUでの権威が強まっていく。
もともとEUは夢だったのかも。
「ヨーロッパは一つ」という言葉には、ヨーロッパ人の夢が凝縮されている。
EUは、希望に満ちたプロジェクトだった。自由で、平等で、平和で、豊かな世界の建設。民主主義の実現。少なくともドイツ人は、そういう理想の世界の到来を、本気で夢見ていたと思われる。
ドイツの発言権が強まれば強まるほど、現実と理想は乖離していく。。。
最後にこの言葉も気になります。
ドイツでは、どうも言論統制が進んでいる気がしてならない。民主主義にとって非常に危険な兆候だ。しかもそれが、民主主義を守るためという大義のもとで静かに行われるなら、”いつか来た道”になってしまう。
正しい答えが一つになったとき、誰かにとって理想の社会が完成する。それは全体主義にほかならない。そうなってからでは遅いのだ。
ドイツのSNS規制法のことを考えると、なるほどなと思うとともに、自分たちと異なる因子を取り除こうとしている流れが見えてきます。
自分たちの考えと異なるもの、受け入れられないものを意図的にはじき出してしまうという。。。
こう見ると、ダイナミックにいろいろと変わっていくのが見えてくると、いまのドイツが強い時代はどうなっていくんだろう。。。