13話という長い太平記を読んで、思うことをつらつらと。
太平記は非常に重要な物語なのだなということが感想。
南北朝の時代を作ったのはさておき、その正当性の観点から後の水戸学につながり、尊王攘夷へとつながり、江戸幕府の倒幕へ。さらには、皇国史観へとつながっていく。
この時代というのが、600-700年も昔だというのに、ここまで現代に大きな影響を与えているというのが非常に興味深い。
特に、建武の新政と、明治政府がかぶって見える。
同じ天皇中心とした世を目指したというのに、一つは瓦解。もう一方は列強の一国に数えられるまでにつながっていく。
この差は一体なんだろうなと。
思うに、明治政府の足利尊氏その人になりえた西郷隆盛という人物をうまく除外できたというのが一番大きいのかもしれない。
建武の新政は足利尊氏を除外しきれなかったのに対して、明治政府は西郷隆盛を除外しきった。外にでていった異分子を復帰の機会を見せてきたのを徹底的に叩いた。
さらには、足利尊氏は放逐されてから、数か月で戻ってきたのに対して、3-4年と期間があった。だから、対西郷隆盛の準備ができた。
こういうところだったのではないかと思えてきます。
そういう風に思うと、建武の新政も足利尊氏を九州まで行かせずに、徹底的に叩きのめせばよかったのかもしれない。
そうすれば、いざこざはあっても、長いものに巻かれろという感じで建武の新政が新しい時代を切り開いたのかもしれない。そういう妄想にかられます。
あとは、鎌倉時代に端を発する朝廷の権力争い。大覚寺統と持明院統。後嵯峨天皇の遺言で始まった争い。
この終止符をうったのも、足利義満がでてきてからですから、なんというかいろんなものの清算を強引にさせられたのが、足利尊氏からつながる室町幕府だったのでは?という考えがよぎります。
もともと難しい情勢の上での政権設計をしたので、耐久性も乏しく、結果として戦国時代を巻き起こしたのでは?とすらも思えてきます。
実際、6代目の足利義教の時代には、将軍が暗殺されるという嘉吉の乱も起こってますから。。。そのあと、8代将軍足利義政の時代には応仁の乱も。。。
そう思うと、足利義満がでてきて、南北朝の騒乱を片づけておいてくれてよかったのかもしれない。
そういうことをつらつらと読んだあとに考えてました。
歴史というのは現在につながっているものであって、何かしらの影響を与えている。そう思うと、歴史を学ぶというのがいかに大事なのか?というのも理解が進みます。
いままで読んでなかった太平記という物語ですが、非常に重要な内容だと思うし、醜い争いもいろいろと見えるので、人間観察という面でも面白い本でした。
なぜ早く読んでなかったのか?と悔やまれるくらい。
この時代は、なかなか注目されませんが、ちょくちょくこの辺の小説を読んでもいいのかもしれないと思ってます。
13回(今回をいれると14回)におよぶ私本太平記の感想にながながとお付き合いありがとうございました。