Otra célula del cerebro

気が向くままにだらだらと書いていきます。

織田信長の家臣団―派閥と人間関係/和田 裕弘 ~人間関係って昔から変わらない大事なもの~

飲み会の待ち時間に、本屋でうろちょろしているときに見つけて面白そうだと思い、手に取った本。

新書でも、こういう観点の本てなかなかないなと思ってです。

 

読んでの感想は、面白いというより、織田信長の家臣団にはこういう背景があったのかと思わせてくれる貴重な本となりました。

戦国時代好きな方が読んだら、あんまり興味のあるところは少ないのかもしれないです。ただ、自分のような広く浅くのタイプには非常にありがたい。

 

この本を読んでいると、当時の戦国時代が現代の企業の状況のように見えてきました。ワンマンオーナーの会社があれば、重役の力の強い会社もある。そういう風に見ていくと、腑に落ちるところも多々。

織田家ももともとは、重役の力の強い会社だった。それがワンマンオーナー化できたのは、信行との対立、桶狭間の合戦と大きな結果を立て続けに出し続けていたから。

つまり、この初期の段階で、信長は貴重なワンマンオーナー化への道筋を立てることができた。歴史のある大名(武田家とか)では、重臣の意向を無下にできない。それに対して、織田家は信長がすべての決定権をもつ。そうなると、意思決定がものすごく早いし、斬新なアイデアを信長が認めさえすれば、どんどんやっていける。そこに集約されるのだなと。

この流れの中で、佐久間、柴田は大きな重臣の位置を占めていたはずなのに、佐久間、柴田はまったく違う道を進んでいく。佐久間信盛は、過去の反逆話や本願寺の戦いがうまく進まなかったことを出されたりもして、1580年に高野山へ追放されている。

一方で、柴田勝家は、そういう流れもなく、上杉軍と戦う北陸方面の軍団長として引き続き重臣の地位を占め続けていた。

この差がどこで生まれたのか?それは、部下や周りとの関係性であると著者は書いてあります。

柴田は、部下との婚姻関係を深めたり、信長の親戚縁者となっていく道を進み、柴田勝家を放逐すると、織田家に内紛が起きるような動きを続けていた。一方、佐久間は、そういう動きをしていなかった。つまり、放逐されても誰も助けてくれるような環境をつくれなかった。現に、佐久間信盛が放逐された際に、助けようとしたものがいなかったらしい。。。

 信長の家臣団も尾張土豪と信長の協力・同盟関係から、徐々に変わっていき、主君と部下という主従関係に変わっていった。身一つできた、明智光秀豊臣秀吉などがその流れで力を身に付けて位置をあげていった。佐久間はその流れを読み切る必要があったのかもしれません。

 

そういうのを見ていると、人望というか人柄というのが非常に大事になるのだなと思います。周りからもらった恩義を大事にする。さらには、味方を増やしておく。豊臣秀吉的な人間力を磨いていくというのがいいのかもしれない。

一匹狼は格好いいけど、実際には諸刃の剣だなと。人事権を相手に握られているのであれば、何かしらの武器を用意しておき、放逐をできないようにしておく。それが味方なのか、それとも技術なのかは人それぞれの考えになる。そうしておいて、ぶつかっていく動きをしていかないといけないのでは?と。

 

こういうのを見ていると、織田信長のようなワンマンオーナーのもとで、放逐されないようにするにはどうするのか?ということに対する一つの答えががわかる気がします。

 

雑多に書きましたが、読んでみると結構面白い。貴重な本です。当時の織田家関係の小説を読むときに、この本を横目に読みながら読むと、より面白く読めるのかもしれません。

織田信長の家臣団―派閥と人間関係 (中公新書)

織田信長の家臣団―派閥と人間関係 (中公新書)