夢の新エネルギー「人工光合成」とは何か 世界をリードする日本の科学技術/井上晴夫 ~光合成ってなかなか難しいんですねぇ。~
光合成。学校でならったときは、植物が太陽の光と二酸化炭素を利用して、二酸化炭素を分解し、酸素と炭素に分離。炭素のほうは、栄養物として蓄積させる。
そういう反応系のように習った記憶があります。
では、人口光合成の定義は何か?本書では次のように書いてあります。
人口光合成とは・・・・
- 「太陽光」(可視光)を用いる。
- 「水」を原料にする。
- 「エネルギー蓄積反応」により、炭水化物(二酸化炭素の還元物)、水素、その他の高エネルギー物質を生成する。
「エネルギ蓄積反応」とは、光エネルギーを化学エネルギーに変えて物質に蓄える化学変化のことだ。炭水化物は生物が活動するエネルギー源であり、水素は燃やせばエネルギーを取り出せる。
植物の光合成の反応そのものを人工で作り出すわけではない。上記の3つを満たせば、人工光合成になるわけですから、実現をするためのアプローチがいろいろあるということになります。
CO2を分離するのにおいても、次のようなアプローチがあるようです。
[CO2を還元する方法]
こういうアプローチを考えて進められているのをみると、植物のすごさを感じます。あの小さな葉っぱ一枚で光合成ができる要素がほぼそろっているわけですから。
そういう面で考えると、まだまだ科学の世界ではわかっていないことが多いのだなと。
それが小学校で習ったことであっても、それを人工で再現しようとするとなかなかできない。そういう意味では、まだまだ科学というのは進化していくのかな?とも思います。
それにしても、人工光合成を実現できると、二酸化炭素の量を人間がコントロールできるようになる。もしかしたら、この技術が温暖化の解決につながるのかもしれません。もしかしたら、火星移住も実現できるのかも。。。
それを実現するには、できた二酸化炭素の還元物が、石油のようなエネルギーを取り出しやすいものになるというのも大事な要素になるんでしょうけど。
そこはまだまだ先の未来の話なのかもしれません。

夢の新エネルギー「人工光合成」とは何か 世界をリードする日本の科学技術 (ブルーバックス)
- 作者: 井上晴夫,光化学協会
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2016/08/18
- メディア: 新書
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