Otra célula del cerebro

気が向くままにだらだらと書いていきます。

空飛ぶタイヤ (下)/池井戸潤

池井戸作品らしくラストはスカッといいたいところですが、今作品に関しては、ちょっともやもやが残ってます。

 

ホープ自動車は徹底的に隠蔽に走りますが、結局は人の気持ちを抑えることはできず、内部告発がでて、隠蔽工作は崩壊します。それも、はずした担当者から。。。

ホープ自動車にだしたサンプルを切り刻んで処分とかね。分析調査するのに、ある程度は切り出したり、加工したりすることはあるかと思います。なら、その結果のデータをもって説明を行い、問題ないと説明する必要があります。さらに、これほど大事になっているサンプルなら、別途保管しているでしょうし。

上司のほうも、別途指示して、ひと段落つくまで残しておくようにとしておくのが筋でしょうしね。

 

今回の案件をホープ側から見ると、権力闘争に明け暮れてしまい、会社とはどうして存在し、自社が何を求められているか?責務は何か?の原点を忘れてしまったからおきてしまったことのような気がします。

権力闘争して、出世レースをやりあってもいいのかもしれませんが、それでも忘れてはならないものがあるような気がします。

原点を見失い、顧客の信用を失った時点で、会社として立ち行かなくなるわけですから。

 

マスコミが動き出してから、ひと悶着はありながらも、解決していくという点で、世論を作る力というのは大事なんだなと思います。

ただ、その力もいい方向に向けばいいですが、悪い方向に向かうこともあります。そういうのをきちんと見極めていく力というのも求められるのでは?と思えてなりません。

 

最期のところで、柚木(被害者)から詫びにこられて、裁判終結するというところが見えてきてシーンがあるのですが、そこで柚木のいっている言葉が重いです。

「絶対に許せません。許すこともないでしょう」

柚木はいつか見せたのと々、頑なな表情を浮かべた。「ですが、私たちにとって何が一番大切なのか考えたんです。過去は変えられない。だったら未来を変えていくしかない。私はもうこれ以上、あのホープ自動車という会社に人生をかき回されたくありません。これ以上闘うと、妙子との楽しい思い出まで歪んでしまうような気がする。私には他にするべきことがあるんとおもうんです。この子のために。妻もきっとそうして欲しいというでしょう」

~中略~

「ホープ自動車と闘ったところで何も残らない。そんなことより、事件を風化させないことのほうが大切だと思います。それは法律やお金とは関係ないことです。」

人が作り出したもので、人が亡くなるということは、なくしていかないといけないという強いメッセージのような気がしてきてなりません。

 

空飛ぶタイヤ(下) (講談社文庫)