暗号大全 原理とその世界/長田 順行 ~むずかしいけど、面白い。~
暗号というと、どこか秘密なような気がします。
ということで、タイトルを見て電子書籍で購入。
本書は、1971年に発行された「暗号」が原本です。
暗号というのは、昔からあるということ。
そして、表音文字か表意文字かを普段使っているかで、暗号の進化に差が表れるというのも面白い。
漢字のような表意文字だと、種類が膨大で、それを研究するだけで一生を終える人もいる。そのため、知っているかどうかで、読める読めないというのがでてくるため、その言葉自体が暗号となっていた時期もある。特に、識字率が低かった時代ならなおさら。
それに対して、表意文字だと、文字の種類は多くても40-50語。英語に至っては、26文字。その文字の配列を変えたりして、暗号を作っていく必要がある。
この2つの差って、思いのほか大きいですね。必然に追われているものと、複雑なものが手元にあるもの。そうなると、必然に追われているもののほうがどんどん進化していく。
暗号を作るのにもいろいろと種類があるようで。文字を入れ替えるとか、ずらす、あえて紛れ込ませるといった多様なパターンがあります。
それを作るのにも苦労があるけど、大変ですなぁとも。
最後の章で、日本が第二次世界大戦で暗号が見破られていたという話がありますが、そのことについて考察をいれています。
ここらあたりは、非常に面白いし、興味深い内容です。
限定された暗号のパターンを使い続けていくことと、その暗号をどう更新していくのか?そういうことを怠ると、あっという間に解読されてしまう。
そういうのが見えてくるだけでも恐ろしい。
あと、よく使われる言葉だけでも解読されると、内容としては90%程度よめるようになるそうです。だいたい10%くらいの解読で。。。
90%を95%にしようとすると、10%を60%に上げていく必要があるようで。。。
こういうのを見ていると、銀行がワンタイムパスワードとかをいれているのがわかります。
ある種、パスワードは暗号みたいなもので、それを何度か繰り返していくことで、いずれは突破される。守るものがお金のことであれば、なおさら慎重にしていく必要がある。
だからこそ、使い捨ての暗号であるワンタイムパスワードになっていくのだなと。
どんなにコンピュータの性能があがったところで、暗号のアイデアを出すのは人間。そこいらを考えると、運用次第で簡単に突破されるのだなと思うと、ちょっとぞっとしてしまいます。
そういや、こういうことを考慮しながら、いろいろとネットの世界はやっているのかなと思うと、すごいなぁとしかいいようがないですね。。。