麻薬。
その不思議な言葉を考えると、あぶないものというイメージしかない。
ただ、治療とかで痛みを散らしたりすることもできるし、麻薬が進んだからこそ、心臓手術といった難易度の高い手術ができるようになり、医療が進歩したというのもあります。
まさしく、好悪の背反があまりにも大きな存在という感じがします。
本書ですが、その麻薬について書かれているのが次のこと。
これまでに、麻薬についての社会的な側面や人体への影響の面から書かれた本はあるものの、不思議なことに、麻薬そのものの来歴などについて一般の方々向けに平易に書かれた本は見当たらない。そこで、麻薬について博物学的な観点からまとめてみようと思ったのがこの本である。
そして、この言葉がなかなか難しい言葉。
「ものをこわがらな過ぎたり、こわがり過ぎたりするのはやさしいが、正当にこわがることはなかなかむつかしい」
知らないからことを知らずに恐れるというのも大事だけれども、知ったうえで、その危険性を知ったうえで恐れる。ということが大事なんだろうけど、難しい。
自動車も危険性だけ見れば、あぶない凶器になるけども、利便性を考えたり、安全性能を考えると、安全なものになっていっているとも考えられる。ただ、まだ人に頼っているところが多々あるのを考えると、危ないものである。そういう認識を向けられるか?なかなか難しいなと。
麻薬についての内容については、本書で読むと結構楽しめます。
ただ、最後に麻薬をなぜ規制されなければならないか?というのが書かれています。ここは上記のものを知ったうえで恐れるという意味でも知っておいたほういいことだと思います。
麻薬にまつわること
- 本人:妄想や幻聴、そして、多大な金銭的損失や社会的信用の失墜で長く苦しむこととなる
- 麻薬を入手するために支払ったかねが闇の組織に流れて、まともな使われ方にならない。他の犯罪の後押しになる
- 麻薬の耐性により、必要なものが増えていくことで、どんどん金銭がでていく。足らなくなると、いままでの仕事をすてて、麻薬販売や強盗といった犯罪を犯すようになる。
こういうのを見ると、麻薬がなぜ規制されるべきかというのが見えてきます。
本人だけの問題ではなく、多くの人々に影響を与えるからこそ、やってはいけない。適切な処理を行い、医療行為においてのみ使用されていくべきなんでしょう。
麻薬はアヘン戦争の原因になったりとしたのを考えると、戦争の引き金を引くというのがわかりますし。
ヤクとカクの扱いは人類に未来があるか否かの鍵をにぎっているといってもよかろう。
こういうことを考えると、なかなか重たい話の本だなと思います。