作者の西部さんといえば、今年の年始に自殺して、話題になりました。
実質この本が遺作というか、遺言のような内容ですかね。
冒頭に最後の著述とかいてますから、なおさらですな。さらに、あとがきを読むと、どうもこのあと起こったことを決めていたとしか考えられない。
そう思うと、遺作というのがしっくりきますかね。ただ、自分には、非常に読みづらい。口述で書かれているので、ちょっと冗長的なところがあるからかもしれないです。
読んでいくと思うところがあるのが、次のことかなと。
慣習といい伝統といい、一見一聞したところごく凡庸なものでしかない。しかしそこに秘められている歴史の英知ーーー宗教感覚のことも含めれば「慧智」と呼ぶべきかーーーのことを考えると、特に矛盾した欲望や価値のあいだでどう平衡をとるかということに論がおよぶと、過去から伝え残されしものには目を見張るべき知恵が秘められているとわかるのである。
個人的に昔はよかった調になりたくはないのですが、ところどころで経験的にこういうことをしたほうがいいとか、過去と同じパターンになるよなと思ったりすることがあります。
そういうのを考えると、昔の方々の知恵というかそういうのをうまく活用していったほうがいいことも多いんだろうなと。
ただ、昔の知恵ということにすがっていくと、新しいことができなくなって硬直が始まるのもありますから、どっちもどっちという感じが。。。
むしろ平衡的な感覚を磨くことが大事なんだろうな。。。