中国の軍の成り立ちについて書かれた本。
冒頭に書かれている次の言葉に興味がわきます。
中国にはじつは「国軍」がない。にもかかわらず、ときとして示威的な軍事行動をとるのはなぜか。
この問いは非常に興味深い。
それが中国の国の成り立ちと大きな関係がある。
もともと国軍はないけども、私兵は存在する。その私兵と統率者との関係性に起因している。
中国は、私兵が国軍のかわりをはたす歴史をもち、その過程で、統率者が「もの」「かね」「ちから」を分配しながら、軍とのつよいつながりをつくってきた。また軍もそれらをもとめて統率者に依存するという、もちつもたれつの関係を形成してきた。
つまり、統率者と私兵は利権をどう扱うか?自分たちに利権を与えてくれるものかどうか?という関係性が強いということ。
私兵にとって都合が悪い方向に統率者が進もうとするのならば、それを排除するか、自分たちの意思を見せるような示威的な行動をとる。
それをもとに追認させて、統率者が自分たちの進む方向性へ切り替えさせるのを目的としている。
自分たちの行動によって統率者の方針をかえてしまえる、そのような過信もあるだろう。中国における「人治」はかくも根深く、法治への転換は容易ではない。
こういうのを見ると、軍のほうが力をもっている感じがしてしまいます。
ただ、その軍をコントロールしているのも統率者の力でもあり、この2つが同じ方向を向かせるのに何かしらの外敵を想定していく必要がある。
そう思えてきます。
そこを踏まえていくと、中国が抗日をつらぬくのがその成り立ちによるものだというのがわかり、それを取り除くのは実質的に非常に難しいことなんでしょう。
むしろ、自分たちの存在価値を確保するために、大事なことなのかもしれない。
そういう目線で物事を見ると、なるほどなと思えるところもあり。
ただ、そこから先へ進めていくには時代が進んでいかないと難しいことなのかもなと。。。
いろいろと闇が深い。。。