呉越春秋 湖底の城 第九巻/宮城谷 昌光 ~遂に完結。最後にいろいろと伏線拾うのは面白い~
呉越春秋もついに9巻。
今回で最終となります。
5巻が2014年に感想を書いているから、年に1冊ペースですかね。9年間か。。。長期連載か。すごい。
さて、8巻の感想はこちら。
ついに越による呉への復讐劇の幕が開く。
とにかく、我慢に我慢を重ね、相手に不信感を抱かれないように細心の注意を払い続け、準備を徹底させていった。
たしかに、従順でいて、自分が戦うときに手伝ってくれる相手を不審に思うこともないですし。。。
この越の徹底ぶりが非常にすごい。
復習を成し遂げようと思うと、ここまでしていかないといけないのかなと。そして、復習を成し遂げたのちには、非情さをもって相手をしとめる。
逆に、それをしとめないといずれは自分がその復讐の相手となってしまう。
この呉越の戦いから出てきた言葉でもある臥薪嘗胆。
言葉としては非常に深いなと。。。
あと、呉越春秋の最初にでてきた「盾」がここでつながっていくというのが、最後に伏線を回収した感じがして面白い。
むしろ、この盾を奪ったものが呉にいて、奪われた側が越にいた。この妙を最後にもってくるか!と。
そして、范蠡の師である計然の教えが興味深い。
「備えを修め、物を知れ」
備えを修める
目的を設定したら、そのための予備知識をたくわえ、調査をつみかさね、その上に予測を立てる。
物を知る
商業的知識における物品の価値と流通をいう。
当たり前だけれども、なかなか難しい。
目的を決めておいて、そこに対するアプローチを決めていく。
よく言われることだけれども、なかなかできるものではない。事前に用意をしておくかどうかが非常に大きな差になるのだなと。
小さいことからでも、着々としていくことがいかに大事か。。。
優秀すぎても、嫌われてしまうとダメなことが多い。そのことを伍子胥の生き方を見ていて思えてきます。
いかに相手とうまくやっていくか?もう一歩二歩と引いて先を見据えて行動をしていく必要があるのだろうなと。
最後に、范蠡の言葉より。
人は、けっきょく、人を喜ばせたものが勝ちだな
相手のことを考えて、いかに相手に喜んでもらえるか?ということをしていく。そうすれば、相手が自分に対して敵意をもつこともないし、味方になってくれることも多い。
こういうホスピタリティーにあふれる仕事や生活を送っていきたいものです。