戦略がすべて/瀧本哲史 ~戦略って簡単にいうけど、意味を考えると非常に難しい~
戦略というのは何なのだろう?
絶対的強者であれば、戦略なんてなくても勝てる確率は高いわけですから、戦略を必要とする時点で弱者か、どんぐりの背比べ状態かのどちらかなんでしょう。
本書では、戦略についてこう書いてます。
戦略を考えるというのは、今までの競争を全く違う視点で評価し、各人の強み・弱みを分析して、他の人とは全く違う努力の仕方やチップの張り方をすることなのだ。
そういう意味で言うと、「戦略」は弱者のためのツールでもある。同じ戦い方で正面衝突すれば、もともと強いものが勝つだろう。だから弱者が勝つためには、戦いのルール自体を変えたり、攻守を逆転したりして、大胆な転換を模索するしかない。
つまり、戦略というのはルールを規定する側の戦いにもっていき、いままでのルール上での戦いができないようにしていくことを旨としていて、それが時代を先取りし、先回りをかけて世の中へ仕掛けていくことということなのでしょう。
まるで、スキーのジャンプ競技で日本選手がルールに順応しだしたら、ルール改定で海外(特に欧州)が有利になるようにしてしまうかのように。
ただ、下の人間にこういう戦略を考えさせるというのは、戦略の方向性がぐちゃぐちゃになり一貫性がでてこないようになりますから、やはり上位で戦略の大筋は決めるべきだと思うんです。下の声を聴くのは参考程度にしておいて、上位で判断して決める。
その方向性の中で下が戦術や中規模の戦略を立てて進めていく。そういうのが必要だと思うんだよなぁ。
戦略の大方針をきちんときめておかないと、結局は戦略の方向性をすり合わせるために内部での戦いに力を注ぎすぎると、旧日本軍のようになってしまう。
どうみても、おかしい方向性になりかねませんね。
意思決定の方法というのは、難しいところです。
企業という組織においては、各階層での仕事は大きく異なるため、日本のようなキャリアパスの設計は適切ではない。事実、多くのグローバル企業では、最初からリーダーを選抜し、かなり早い段階から難しい意思決定をさせて経験を積ませている。
そう思うと、普通に働いている中で、意思判断をできる立場に着けるチャンスがあれば、可能な限りついたほうがいいんでしょう。
いろいろと考えると、その判断はなかなか難しいことになりますが。。。
この本は、戦略的な物事の考え方を例を引用しながら書いてあり、非常にわかりやすいです。ただ、著者のほかの本を読んでからのほうがわかりやすいかと思います。
以下参考になったところ
- 「楽勝できる土俵」を見極め、徹底的にそこに資源を投資する。
- 「場」を作ることで、人間が刺激しあい、ネットワークを作り、能力を高める。
- 変化は日常の些細なところから始まっている。
- 環境の変化に応じてコミュニケーションやビジネスのやり方は自然に変化する。
- 昔を知らない若い世代のほうが、新しい環境を構築しやすい。
- 古い世代は未来の変化に敏感になり、若者とコラボレーションをはかるべき。